1.ガンは生活習慣病
糖尿病や高血圧が生活習慣病である事は誰もが知っている事ですが、意外と知られてないのは、ガンも生活習慣病の1つであるという事です。
中にはガンは運が悪い人がなる病気だと認識している方もおられ少し驚きました。
ガンも生活習慣病の1つであれば生活の習慣(特に食事)を見直せば十分に予防できる病気だと考えられます。
ガン治療で有名なマックス・ゲルソン医学博士はこう言ってます。 「医学界は腫ようのみがガンだと錯覚している。
これが最大の間違いで、ガン腫ようはガンの症状の1つであってもガンの全てではない。
ガンとは、ガン細胞や腫ようを生み出すような体全体の栄養代謝の乱れなのだ。
そして、ガンとはすべての病気の中で最もひどく栄養代謝の乱れた病気である。
腫ように目を向けたのではなく、からだ全体の栄養代謝を正せばそれでガンは治る。」と。
ガンになるには必ずその原因があります。
その原因さえわかれば、その逆をやれば予防できると言う事になりますよね。
では、どうしてガンになるのでしょうか?
我々の体には成人で約60兆もの細胞で成り立っています。
その細胞1つ1つに核と言う物があり、その中にはDNAと言う遺伝子情報(なんと!400字原稿用紙75万枚分の情報)があり、人の体はこの情報によって作られています。
言わば体の設計図なのです。
そして、この大切な設計図にキズをつける物質が発ガン性物質(ニトロソアミンなど)や活性酸素なのです。
キズをつけられた細胞は、ガン化し増殖、転移を始めます。
しかし人の体は、いろいろな発ガンに対して防ぐ働きを持っています。
まず皮膚はメラニン色素により有害な紫外線が侵入する事を防いだり、唾液や消化酵素などで発ガン物質の侵入を防ぎます。
また、体内で発生した活性酸素をやっつける働きとしてSOD、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどの物質が活躍します。
それから、汗、尿、大便などの生理作用は発ガン性物質の排せつの役割をしています。
仮に遺伝子がキズつけられても、ある酵素が修復してくれますし、細胞がガン化してもNK細胞などの攻撃隊が破壊してくれます。
ところが、いろいろな原因によってがん細胞が勝つ場合があるのです。その原因とは・・・
2.ガンと活性酸素
ガンは生活習慣病ではガン化の大きな原因は、活性酸素であるとお話しました。
人は呼吸によって取り込まれた酸素と食べ物から得た栄養素とを用いて細胞内のミトコンドリアでエネルギーのもとをつくり、そこからエネルギーを引き出し活動しています。
そして、この過程で活性酸素が作られます。
普通、酸素分子はO2で比較的安定しているのですが、何らかの原因で「活性」になった時、細胞膜や遺伝子にキズをつける恐ろしい活性酸素になるのです。
本来活性酸素は、私たちの体にとって重要な働きをしています。
この活性酸素の攻撃力を利用して、体内に侵入してきた細菌などを酸化させ無毒化したり、その他様々な生体反応の場で活躍しています。
ではどうして活性酸素は細菌のような敵だけではなく大切な細胞まで攻撃してしまうのでしょうか?
細菌などが体に侵入すると白血球が活性酸素の働きを利用し、活性酸素をぶつけて細菌などを退治します。
白血球とくに好中球は細菌などを退治しているとき、どうしても活性酸素を外にこぼしてしまいます。
この働きが強いと炎症をおこし腫れや痛みが現れ、当然正常な細胞までキズつけることになります。
しかし、人の体はうまくできてまして、この活性酸素を除去してくれる酵素(SOD、カタラーゼなど)が働いて、活性酸素を除去してくれるのです。
だが、SODなどの活性酸素除去酵素も材料、つまり口から食べた栄養という材料が不足していると、当然量が足りなくなるわけです。
その材料となる栄養素がタンパク質と銅、亜鉛、マンガン、セレンなど微量必須ミネラルなのです。このほかビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなど抗酸化ビタミンも活性酸素除去能力が高くビタミンのACE(エース)と言われています。
ガンを予防するには、まず原因となる活性酸素を除去することが大切です。これら上記の栄養素を積極的に摂りたいものです。
えっ!でもキズついてしまった細胞はどうなるの?
3.活性酸素と免疫
ガンと活性酸素では私たちの大切な細胞をキズつける恐ろしい活性酸素の除去についてお話しました。
ここでは、キズついてしまった細胞についてお話したいと思います。
いくら活性酸素を除去してもキズをつけられる細胞が、まったくなくなるというわけにはいきません。
そこで、ある酵素が働き、なんと!壊された遺伝子を修復してくれるのです。
それでも修復できない細胞は白血球などの免疫細胞がガン細胞を倒してくれるのです。
本当に人間の免疫システムは、スゴイですよね。
では、どうしてガン疾病になるのでしょうか?
人の免疫システムは20歳代をピークに低下していきます。40歳代では1/2にまで低下すると言われています。
まるで神は、人の寿命を40歳代にプログラムしたのではと思うほどです。
ですから、40歳代を境にガンになる率が上がっています。
しかしながら最近では、20歳代,30歳代の若い方でもガンになる方増えています。
おそらく免疫システムの低下が原因だと思われます。
人の体はだれが何と言っても口から食べた物で、できています。決してわいてきたわけでは、ありません。
当然、免疫システムである免疫細胞も食べた物からできています。
人の体は今日栄養が足りないからといって、すぐに病気になるわけではありません。
例えば、今日カルシウムが足りないからといって骨折はしませんよね。
そうです!人の体には、ある程度の許容範囲があるのです。
しかし、足りない状態がずーっと続くとどうなるでしょう?
いくらある程度の許容範囲があっても限度があります。
人の体の中では毎日ガン細胞ができています。
そして、その都度免疫システムが働き、ガン細胞を倒してくれます。
でも、免疫細胞が何らかの原因で低下するとどうなるでしょう?
いつかはガン細胞が勝つ日が来るのです。
そして、現在の日本では、ストレス、食習慣の変化、発ガン性物質の増加などにより、ガンの低年齢化が起きようとしています。
このまま行くと近い将来日本は、多くの老人とひ弱な若者のなるのではと、専門家たちの間でささやかれています。
まだ若いからではなく、もう一度、食生活について考えてみる必要があるのでは・・・
4.ガンと免疫システム
免疫学が注目された契機となる事件はいっぱいあるのですが、今回は「ペスト」を紹介したいと思います。
「ペスト」は体が黒くなる病気で、あるウイルスが体に入って体が黒くなり、ほとんどの患者が死にいたってしまう怖い病気です。
伝染力が非常に強く、町全体がどんどん壊滅していくということで、その町を救うために「ペスト」患者を皆んな焼いてしまったそうです。
ところが、これだけ多くの人が感染しているのに「ペスト」にかからない人がいたのです。
実は、その人も一度「ペスト」にかかって奇跡的に治った人だったのです。
それ以降はうつらないということで、非常に不思議だと思われました。
それが、免疫だったのです。
免疫の機能は、自分以外のものは基本的には敵だと認識します。
そう考えると臓器移植の拒否反応だとか花粉症などの説明がすべてつきます。
では、免疫は私たちの体のどこにあるのでしょうか?
どうやら免疫は血液が関係していると思われます。
血液は大きく赤血球と白血球に分類され、白血球を大きく分類すると顆粒球とリンパ球そして単球に分類されます。
たとえば手を切って菌が侵入すると、自分以外のものが入って来ましたので、まず顆粒球がその菌を倒そうとします。
顆粒球は敵がどんな菌であろうと、とりあえず戦います。
そこで手におえなくなると、リンパ球の登場です。
リンパ球は顆粒球と違い特異的な防衛力を持つように訓練されてます。
リンパ球の元は骨髄などで作られ、分化していきます。そして、胸腺というところで訓練されます。
まず、リンパ球は自分か自分以外のものかを判断し、そして相手が有害なのか無害なのか見分け、敵だと判ると攻撃します。
ですから最初は攻撃するまでに、少し時間がかかります。
しかし、リンパ球は「記憶」というシステムを備えていますので、後で同じ菌が侵入すると、すぐに攻撃するようになります。
胸腺は兵隊の職業訓練所みたいなところです。リンパ球は敵か味方かの判断を受けます。
判断できない落ちこぼれリンパ球はアポトーシスといって自殺するようにします。
なんと!胸腺を卒業できるリンパ球は1%といわれています。
しかし、残念ながら胸腺は10歳代がピークで40歳代になると重さとして半分、60歳代になると1/4、80歳代になるとほとんど脂肪組織となります。
つまり、体の免疫力が年齢と共に低下していくわけです。
そのほか、免疫細胞として単球(マクロファージ)やNK細胞(ナチュラルキラー細胞)などがあり、私たちの体を守っています。
私たちの体の中には、必ず白血球がいます。
そして、この白血球がガン細胞と戦ってくれるのです。
ですから、白血球を強くすれば、ガンにかかりにくいということになりますよね。
では、白血球を強くするには、どうしたら良いのでしょうか?
活性酸素と免疫でもお話したように、誰が何といっても人の体は口から食べた物で、できています。勿論、白血球も口から食べた物でできているのです。
という事は、白血球を強くするにはバランスの良い食事と言う事になりますよね。
しかし、ちまたではテレビ、ラジオ、新聞などから、やれココアの○○○という成分が良いからと聞いては、ココアが売り切れ、ワインが良いからと聞けば、ワイン売り場に人が殺到するという現象が起きています。
人の代謝は色々な栄養素が関与して行われています。
それなのに何か一成分を多く摂ったからといって良くなるほど単純ではありません。
ましてやその一成分の摂り過ぎを問題視すべきではないかと思います。
人の体には、どうしても必要な栄養素が約40種類あると言われています。
それが、タンパク質を初め脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、ファイバーの6大栄養素なのです。
我々日本人も、もっと栄養について学び、1人、1人が、お医者様任せにせず、自分の体は自分で守る事が必要ではないかと私自身にも言い聞かせています。
5.ガンと心
「ガンと心」と言う事ですが、「ガンと心」と言うよりも「免疫力と心」の方が、正しい表現だと思います。
それだけ心(気持ち)が免疫力に影響を与えているのです。
ストレスを受けると、副腎皮質ホルモンで抗ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。
実はこのコルチゾールが免疫機能であるNK細胞(ナチュラル・キラー細胞)を殺してしまうのです。
NK細胞は、ガン細胞やウイルス感染細胞を見つけるとパーフォリンというパイプ状の物を突き刺して倒してくれます。
この優秀なNK細胞がコルチゾールと出会う事により無能になってしまうのです。
しかも、コルチゾールなどの抗ストレスホルモンが作られる時には、多くの活性酸素が発生し、さらにガンになりやすくなるのです。
逆に笑ったり、笑った顔をするだけでもNK細胞が増えたり、活性化したりするそうです。
いつもの事ですが、ほんとうに人の体とは、不思議なものです。
まあ、人生いろいろありますが、あまり深く考えず、せめて顔だけでも笑っていたいものです。
「笑うかどには福来る」といいますが、免疫学の知らない昔の人は、体で感じていたのだろうか?