スポーツとアミノ酸
人間の体をつくっているたんぱく質はアミノ酸からなり、主要臓器をはじめ、神経伝達物質やホルモン、血液にいたるまでアミノ酸によってつくられています。
実際は、アミノ酸単独で形成されるたんぱく質の他に、糖や脂質とからみ合ってできている糖たんぱくやアミノ脂質などの形で存在しているものも多くあります。
アミノ酸はあくまで部品であり、それぞれが体の構成成分を形成するために複雑にからみ合って働いているのです。
人間の体が必要とするたんぱく質を効率よく摂取するための方法として、特にスポーツする人たちに用いられているのが「アミノ酸スコア」です。
これはFAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機構)が設定したもので、理想的な必須アミノ酸の量と組み合わせを想定し、特定の食品のアミノ酸の構成と比較して栄養価を判定する方法によって算出された数値です。
もう少し詳しく説明しますと、食品中に含まれる各必須アミノ酸含有量をアミノ酸評点パターンの当該アミノ酸で割って%表示し、その最低値を示します。
つまり、必須アミノ酸のうち、一番含有率の少ないアミノ酸の%が決め手になります。この最低値を示すアミノ酸を「第一制限アミノ酸」と呼びます。
たんぱく質の利用率は必要量に対して、もっとも少ない割合で存在する必須アミノ酸の量によって制限を受けるという意味です。
米を主食とする日本人は第一制限アミノ酸であるリジンが不足しますが、大豆にはそのリジンが豊富に含まれています。「米と納豆」「米と味噌汁」がバランスのよいアミノ酸となるのです。
サプリメントは本来不足している栄養素を補うことにあります。特にスポーツしている人は普通の人よりアミノ酸を多く消費します。不足している栄養素をサプリメントで補いバランスよく摂取することが大切です。
■主なアミノ酸の働き
[BCAA(分岐鎖アミノ酸)]
バリン・ロイシン・イソロイシンの3つのアミノ酸からなり、体のたんぱく質を増やし、運動時のエネルギー源として利用されます。
他のアミノ酸は小腸から吸収されて肝臓で代謝されるのに対して、BCAAは筋肉でも代謝されます。
そのためトレーニングで筋肉を使う場合、BCAAはグリコーゲンや脂肪とともにエネルギーとなります。
筋肉のたんぱく質に多いアミノ酸で、筋肉アップや、運動時の持久力を高め疲労感を軽減する働きが期待されています。
[アルギニン]
血流改善、成長ホルモンの分泌を促進する作用があります。筋肉増強などの作用が期待されるのでアスリートにも人気があります。
[グルタミン酸]
小麦や大豆に多く含まれる速効性のあるエネルギー源であり、運動時の疲労回復を促進する働きが報告されています。
[アスパラギン酸]
速効性のあるエネルギー源であり、持久力を増強する作用が知られています。栄養剤などの成分として利用されることがあります。
いずれにしても重要な役割を持つアミノ酸ですが、バランスよく摂らないと、その作用は半減してしまいます。
また、スポーツする際にアミノ酸を摂取する場合、たんぱく質の合成が高まるタイミングにあわせてスポーツ直後にアミノ酸を摂取するのがよいです。
ただし、運動をした後に疲労によっておなかの調子を悪くしたり風邪をひいたりするなど体調を崩してしまうのを防ぎ、常にベストコンディションでいられるように日頃からアミノ酸を摂るとよいです。
持久力を保つのに有効であり、身体への負担軽減にもなるからです。
さらに、陸上競技やウォーキングの直後などには糖質などを多く含む果汁飲料などをアミノ酸と一緒に摂取すると、筋たんぱく質をよりつくり出しやすくするといわれています。
参考:日本ニュートリション協会 サプリメント編