3.食品中の成分が活性酸素を抑える
活性酸素の働きを抑える抗酸化物質(スカベンチャー)は食品中にいろいろ含まれています。
代表的なものとしては
・ビタミンC,ビタミンE・カロテノイド(βカロテン、リコピン、アスタキサンチンなど)
・その他の化学成分
が挙げられます。
ビタミンEは活性酸素の攻撃で電子を失った脂肪酸が、消失した電子を取り戻そうとし、これ自体が活性酸素のような働きをしてラジカル化して他を攻撃するという連鎖反応を抑える働き=酸化防止作用があります。
ビタミンCには、このようにビタミンEが働いた後のビタミンEを再生させる働きがあり、ビタミンEとビタミンCは相互に補完的な関係にあります。
そして、最近注目されている抗酸化物質がハーブに多く含まれている「ポリフェノール」です。
ポリフェノールとは何か。まずベンゼン環に-OHが1つついたものをフェノールと呼びます。
このフェノール自体も抗酸化作用を持っています。
ポリフェノールは-OHが2つ以上ついたものを言います。
紅茶の色素、緑茶のカテキン類、チョコレートやココア、赤ワインやぶどうの皮はポリフェノールを多く含んでいることで話題になっていますが、これらのポリフェノールは強い抗酸化作用を持っていることが明らかになりました。
さらに、これらの食品に負けず劣らず、ポリフェノールなどの抗酸化作用を持つ成分が多く含まれていることで注目されているのが各種のハーブです。
ハーブに含まれている植物多糖体、植物性配糖体はがん細胞の増殖を抑制し、「脱がん化」を図る物質として注目され、医療の現場では植物多糖類のがん抑制作用を認めており、実際にカワラタケ、シイタケ、スエヒロタケらが抗がん剤として使われています。
キョウチクトウ科、ニシキギ科、ジンチョウゲ科、モクレン科、ミカン科、ニガキ科の植物の抽出液がもつ制がん作用についても現在研究がされており、今後の研究成果に大きな期待が寄せられています。
抗がん作用のあるハーブは膨大な数に上がります。
その1部を挙げてみましょう。
アブラナ科ではワサビ、セリ科ではフェンネル、ウコギ科のニンジン、そしてシソ科ではオレガノ、アカシソ、バジル、セージ、ペパーミントのようにシソ科のハーブ類に抗がん性を示すものが多いようです。
その有効成分についてはまだ解明されていないが、これらのハーブ類には、青魚に多量に含まれていることで有名になったEPA(エイコサペンタエンサン)、DHA(ドコサヘキサエンサン)などの不飽和脂肪酸の有効成分があると言われています。
カルダモン、クミン、ジンジャー、ナツメグ、サンショウ、タイムといった私たちに馴染み深いスパイス類にも抗がん作用が認められており、アンズ、シナモン、ローレル、コショウ、ターメリックらのもつ抗がん作用にも注目が集まっています。
なかでもターメリック(ウコン)の抗がん作用はすでに実証済みです。
ターメリックはカレーを黄色にするスパイスですが、この黄色成分の基になるクルクミンと呼ばれる物質に、がんを予防する効果があるのです。
カレーはスパイスという抗がん作用のあるハーブの集合体であると同時に、その黄色にも抗がん作用があるのです。
さらに、ニンニクのアリシン、タマネギのサイクロアリシン、アブラナ科のイソチオシアネートなどに含まれるイオウ化合物の抗がん作用も注目されています。
セリ科のアシタバにも抗がん作用があります。
アシタバに含まれる有効物質はクマリンと呼ばれ、カテキン類と同じ系統に属します。
カテキンと言えば緑茶の有効成分であり、その抗がん作用は広く知られています。
日本ニュートリション協会 ハーブ編より