2.活性酸素を防ぐ抗酸化物質の正体は「ミネラル」、「ビタミン群」
人間の老化のメカニズムについてはまだ完全に解明されていませんが、過酸化脂質が深く関与しているのは間違いありません。
私たちの細胞を構成する物質の一つにリン脂質がありますが、このリン脂質は活性酸素などによって簡単に酸化され、過酸化脂質に変わってしまいます。
過酸化脂質ができるとその細胞は弾力を失い、十分に機能が果たせなくなります。これが細胞の老化です。
もしも、過酸化脂質の生成が進めばどうなるかーその具体例としてよく知られているのが動脈硬化です。
血液中に脂質が増えれば、血液の粘り気が増して血栓ができやすくなったり、血管にコレステロールが沈着して血液の通り道が狭くなったりします。
つまり動脈硬化になりやすいわけです。
動脈硬化が起これば、心臓病や脳卒中をはじめとした生活習慣病の危険性が高まることになります。
血管を構成する細胞が老化すると血管の弾力が失われて硬くなり、その結果、血圧が急に上昇すると簡単に破れてしまい、過酸化脂質が血管壁にどんどん沈着すれば、血管の通り道が塞がれて流れが止まってしまう。
こうした状態が脳に生じるのが脳卒中で、血管が破れた場合が脳出血、血管の通り道が塞がれる場合が脳梗塞と呼ばれます。
また、血管の弾力が失われて血行が停滞しがちになれば、心臓はより強い力で血液を送り出さなければならず、心臓病や高血圧の原因ともなります。
最近、βカロテンやビタミンC、Eなどの効果が話題になっていますが、それも、これらの物質が細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用をもっているからに他ならないのです。
活性酸素は、このような人体にさまざまな悪影響を与えますが、体が酸素を利用する過程で必然的に生じるものなので、活性酸素の発生そのものを防ぐことはできません。
ただ、人体の防御メカニズムはきわめて巧妙にできていまして、発生を防ぐことはできなくても、発生した活性酸素を除去することはできるようになっています。
たとえば活性酸素の1つであるスーパーオキサイドに対しては、SODという酵素が働きかけて、スーパーオキサイドを過酸化水素と酸素に分解してしまいます。
このとき生じる過酸化水素も活性酸素の1つですが、これに対しては別の2つの酵素が働きかけて水に変えてしまいます。
水になってしまえば体に害はありません。